header_nikos
       
 
 
 
 
 
 
 
 
治療日カレンダー料金access
 
「うつ」に対する鍼灸治療 2
 

≪ 「うつ」に対する鍼灸治療 ・・・休職から復職までの、典型的な回復例≫

 
 

【 患 者 】44才 男性 会社員
この患者さんは、「うつ」で休職するのは二度目のようだが、今回は2週間ほど前から、会社を休職している。理由としては、会社の仕事、および上司がきついことだという。復職の目安を、治療する側としても知っておく必要があるが、それは、まだ決めていない。産業医と相談して、後日決めるとのこと。また、針や刃物が苦手であり、したがって治療の鍼にも恐怖心がともなうと言う。

【 症 状 】 最もつらいのは、精神的なものよりも、身体上のだるさや、肩の凝り。 精神的な重圧よりも、身体的な症状を訴える「うつ」患者の方が、経験上、回復が早いと感じられる。

【 初 診 】 ≪休職からほぼ4週間≫
(脈) 数
本日は、定石どおりに、照海、列厥、帯脈などの基本的な穴を取る。 使用鍼は01番。

<2診> 前回より4日後
肩の凝りは半分ほど改善された。

<3診> 4日後 ≪休職から1ヶ月と少し≫
前回の帰宅後、疲労が大きかったとのことで、原因は問診が多かったことのようである。したがって、この日はあまり話さずに治療する。また、鍼の効果が出やすい患者だということが分ったので、取穴も少なくする。使用鍼は、やはり01番。

<4診> 一週間後
前回から、問いかけを最小限にし、また取穴を少なくするかわりに、癒気指圧をとり入れたところ、数脈が改善されはじめ、数・大  ⇒ やや数となった。

<6診> 二週間後
(脈) 数・沈 ⇒ 数・浮
数脈が抑えられ、沈から浮いてきたのは朗報。患者も徐々に積極的になって、この日は、久々に泳ぎに行ったとのこと。また産業医とも相談して、来月いっぱい休職することにしたという。とうことは、3ヶ月の休職ということになる。

<7診> 一週間後  ≪休職から2ヶ月≫
前回より、治療中に眠くなる。これも朗報。声にも少し力が増す。

<8診> 二週間後
(脈) 弦・数 ⇒ 柔・やや数

<10診> 二週間後 ≪休職からほぼ3ヶ月して、復職≫
(脈) ほぼ平
3日まえ、2日まえと出社した。初日は、さすがに疲れた。咳が出る。

<11診> 一週間後
この週から、9時~17時の勤務。食後などに咳き込む。

<12診> 一週間後
一週間勤務すると疲れるが、仕事を休みたいとは思わない。

<14診> 二週間後 ≪復職から1ヶ月≫
復職して一ヶ月経過したが、おおむね良好。

<16診> 二週間後
続いていた咳は、中府に置鍼して台座灸を使ったところ、きれいに治まった。この頃から、脈に肝虚が出る。

<18診> 二週間後
(脈) やや数・浮
少し倦怠感があるが、これは業務が多忙だったため。脈も浮いているので、あまり心配ないとみる。

<21診>復職して3ヶ月経過
週半ばには疲れをかんじるが、ほぼ良好。  今回は、これで一くぎりとする。

【 考 察 】  2,3回目の治療で、患者の何を目安にすれば治療が効率的にできるかがはっきりしてくるが、この患者さんの場合、弱い刺激で、脈の数と沈を改善することだった。
これは、肩こりと倦怠感の改善とも並行して改善された。  昨今の会社づとめの人の「うつ」は、休養が第一選択だが、それに鍼灸治療を加えれば、はじめに予定した休職期間はさらに短縮できる。  この患者さんも、急ぐならば、もう2週間早く復職できたと思うが、会社の配慮で月末まで休むことができたし、復職後も、順調に勤務に戻ることができた。