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難治症・希少症例
 

12. ≪脳梗塞の後遺症に対する鍼灸治療

 
【患者】52才 男性
 
【症状】右半身麻痺(左脳梗塞)

初診 冬の朝目覚めると右半身が麻痺して動かすことができなかった。その日入院ということになり、1か月入院したが、後は自宅療養ということになった。
発症から1ヶ月たっての状態は、右上・下肢の動きはずいぶん元に戻ったが、①体を動かす仕事なので、下肢がもっとなめらかに動かなければ仕事にならない。②また右顔面の動きが悪く、食事の際に物がうまく噛めない、口から唾液が垂れる。③右手足が非常に冷える。
 
【治療・経過】
[最初の1ヵ月、発症より2ヵ月目]
初回の治療で②唾液が口から垂れる症状はなくなり、③手足のひどい冷えも2/3程度に改善。冷えのひどい当初は、皮膚に直に施灸したのが効著だった。病院でのリハビリも効果がありバランスは回復したが、まだ片足立ちは無理。

[この後2ヵ月は患者の都合で治療できなかった]
 
[発症より4,5ヵ月目]
①身体がなめらかに動かない症状に対しては奇経治療で対処していたが、5ヶ月目からは■(膠の月⇒骨 ビュウ)刺がこの患者には奏効することが分って多用した。足先を背屈させることができない症状などは、左足に対する刺鍼で即座に改善した。
②■(膠の月⇒骨 ビュウ)刺は、しつこく残る顔面神経麻痺に対しても有効で、右に対する通常の治療の後、左に鍼をしておくと、次回までの改善が見違えるほどになった。以前、私の師に神経麻痺は健側にも鍼をするように言われていたことを、今更ながら思い出した。
 
[その後]
当院できちんと治療したのはここまでで、その後は月に一度ほどの治療だったが、半年でほぼ通常の状態に戻ったといえる。爪先に力が十分に入らないなど、本人には若干の不満が残るようだったが、病院のリハビリにも熱心に通い、発症から1年が経過する頃には顔面も含めてまったくと言っていいほど元の状態に回復していた。
 
このケースでは、患者本人が治療とリハビリに熱心で、食事の制限やリハビリ運動を熱意をもってこなしたことが、よい成果になって現れたと思う。