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難治症・希少症例
 

11. ≪脂肪肝(肝腫大)患者の倦怠感に対する鍼灸治療
・・・腸間膜静脈のうっ血改善 ≫

 
 【患者】70代前半 女性
 
【肝患者の腹症】
この患者さんは、肝臓の専門医から、3倍の大きさに肝臓が腫れていると告げられている。診断名は脂肪肝。
腹部右側にバナナほどの太さに腹直筋がかたまり、季肋下から恥骨まで筋になっている。これは、肝臓病患者特有の症状で、腸間膜のうっ血の結果できるものではないかと思われる。
もう一例、末期の肝がん患者を診たときにも同様の腹症を得ているが、「右腹部の拘結」という腹症例は、腹診書として最も著名であるとされる「腹證奇覧」「腹證奇覧翼」(合わせて十二巻)にも取り上げられていない。これが私にとって不可解なところで、今後さらに知見を広めてゆきたいところである。
 
【症 状】
腹部に太い棒状の塊があることによる、痞え感。
専門医の治療を受けていることもあり、GOT,GPT値は50~70程度を維持していたが、この春にははじめて33だったと、非常に喜んでおられた。
 
【治 療】
脈状は、ほぼ肝虚といったところで、とくにはっきりした肝虚が現れていることはない。
殿部から骨盤内に穿刺する鍼が有効で、3寸ほどの鍼を刺入すれば5分ほどできれいにゆるむ。そうでなければ、腹部に金の細鍼を用いて刺鍼すれば、これも効果がある。
いずれにしても、殿部からの長鍼がもっとも効を奏するようである。
腹部うっ血を改善することができると、日常生活がずいぶんと楽になるということである。
☆ 研究会での講義 「門脈圧亢進証の鍼灸治療(腸間膜静脈のうっ血にどう対処するか)」